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男の格好をするのが当たり前。
男のように振舞うのが当たり前。
それが、彼女の生活だった。
彼女の父は先天的な吸血鬼だ。
当然、血を吸わなければ生きてはいけない。
けれど人間の中で生活していくのなら、それを隠し通さなければならなかった。
母はブルーベリーのフレイバー。
体が弱くも優しい母親は、彼女と妹を産み落として尚、父親に血を分け与えていた。
優しい妹と母親。厳格で責任感の強い父親。
家族の中ではそれでも幸せがあふれていた。
お互いを思いやりながら、日々の暮らしを平凡にすごす、そんな日々。
母親は病弱で外に出られないから、妹が家事をやった。
父親は太陽が駄目だったから、昼間は彼女が働いた。
それでも、気持ちは満たされていた。
男のように育てられて「俺に何かあったらお前が家族を護れ」といわれてきた。
だから、強くなろうと彼女は思った。
母と妹を精一杯護れるようになってやる。
そう思っていた。
けれど―――すべてはあの日、崩れてしまった。
吸血鬼狩り。
家に帰ったとき、嫌な感じがした。
血と、ブルーベリーの混じった、臭いがした。
扉を開けた瞬間の、妹が忘れられない。
苦しそうに倒れて、父は八つ裂きに。
母は―――いなかった。紫の液体と香りだけが、そこにあった。
微笑った顔。抱きしめても、妹は還らない。
ちょうど、自分が仕事に出かけている間だった。
此処に「一人足りない」ということは知られているのだろうか。
一体誰が漏らしたのだろう。
いずれにしても、自分はもう、其処にはいられない。
故郷にはいられない。
死のうと思った。
家族の下へ逝こうと思った。
護れないまま、なんて情けないと思った。
生きている価値もないと思った。
けれど―――彼女は逃げた。
「お兄ちゃん。生きて」
彼女を兄だと思っていた妹は、それだけを残して―――逝った。
その言葉がずっと、頭に残って、彼女は逃げた。
必死に逃げて、逃げて、逃げた先。
傷ついたままたどり着いたのは、ヴェイトス。
淫らなことなんてしたことなかったし
思えばどうしてあの時あの場所にいたのかわからない。
ただ、惹かれたのだ。「ミルフルール(千の花)」という看板に。
そして女は扉を叩いた。
傷ついたものを全部、ほかのもので埋めようとでもするかのように。
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